Candy Suger

 -Rose--

 
「シュウ!!」

 彼女の声がする。

 「…ハルカ君か。」

 ため息交じりの声をだす。
 本当は嬉しいのだけれど。

 「何よ。私じゃ不満なの?」
 「そうじゃないよ。それに君こそ何で怒ってるんだい?」
 「だってシュウの言い方って嫌味っぽいんだもん!!サトシと違って。」

 少しカチンときた。
 ボクってそんな風に思われていたのかい…。
 それに一番傷ついたのは「サトシと違って」という言葉だけど…。

 「それになーんかかっこつけちゃってい・じ・ら・し・い・カ・モ☆」
 「君だって人の事言えないだろう?」
 「な、何言ってるのよ!」

 …図星…だね。

 「私がかっこつけてるっていうの?」
 「可愛い子ぶってるってね。『〜かも』とかさ。」
 「『〜かも』は口癖かも!!もうシュウって本当に嫌味な性格よね!サトシと違って!」

 そんなこと言われたら誰だって傷つくよ;
 それにサトシ君と比べないで欲しいんだ…。
 でもボクは君の事を恨めない。

 「…悪かったね。嫌味で。」
 「悪いかも!…あ、サトシ!!」

 彼女がサトシ君のほうに走っていってしまった。
 …何だか、途中から横取りされた気分だよ。

 「あ、シュウ!久しぶりだな!!」

 サトシ君の目の中には「ハルカと2人きりで何してたんだ」と書いてあった。

 「…久しぶり。スバメ、強くなったんですか?」

 そしてボクはサトシ君に向かって「さぁ」と投げかけた。

 「ああ!おかげ様でオオスバメになったぜ!バトルするか?」

 ボクとサトシ君の間に険悪な空気が流れる。
 その険悪なムードを切ったのはハルカ君の発言だった。

 「ね、ねぇ…2人ともちょっと怖いかも…。」

 ハルカ君は泣きそうな目でボク達を眺めている。
 やれやれ…仕方ないな…。
 ボクは手に薔薇をそっと持った。

 「そろそろ戻ろうかな。ボクのテントの所に。」
 「そーだぜ、シュウ!さっさと帰らないと!」

 サトシ君は嫌みったらしく言った。
 サトシ君だって嫌みったらしいじゃないか。

 「コレ、あげるよ。」

 ボクは歩きながらハルカ君に向かって薔薇を投げた。
 そしてその薔薇はハルカ君の手の上に乗っかった。

 「次のコンテストで活躍できると良いね。…ハルカ君。」
 「薔薇…この薔薇はアゲハントへの薔薇なんでしょ。」
 「さあ…ね。」

 君は薔薇の花言葉を知っているかい?
 『愛してる』って意味だよ。
 コレが君への薔薇だったらどうする?

 そう思いながらボクはテントに向かって歩き出した。