Candy Suger

 -Marmaid--

 ねえ、どうして…。
 サトシ…。貴方を助けたのは私でしょ?

 「全くサトシっていつもそれよね。ロケット団の事ばっかり!」
 「だってあいつら懲りずに奇襲かけてくるんだぜ?」

 傍からみれば『恋人同士』。
 でもきっと違うの。…何か。

 「あんたもロケット団も変わって無いってことね…。」
 「何だと?この前の勝負、オレの圧勝だったじゃないか!」
 「最後の1匹になって勝ったんでしょ?」
 「うぅ〜…」

 うずくまるサトシ。結構可愛かったりもする。

 「あ!カスミ!…ちょっとサトシ、私も良い?」

 画面の向こうで明るい感じの女の子の声がした。
 …ハルカかぁ。

 「おう!いいぜ!…な、カスミ!」
 「う、うん。…いいんじゃない?」

 私、ちょっとハルカが苦手。
 明るくて、可愛くて、馴染みやすいけど。
 でも私からサトシを取った。
 助けたのに。
 溺れてるサトシを助けたのは私なのに。
 なのに何でハルカが助けたような顔しているの??
 何で?何でなの?

 「…でさ〜、…だよな!カスミ!!」
 「何よ!…で…でしょ?」

 ハルカが羨ましいのかもしれないな…。
 サトシと旅が出来て。
 確かに私も昔はしていたけれど。
 アレは過去の話。
 現在進行形のハルカとは違うの…。

 「カスミ?おーい!カスミ!聞いてるか?」
 「え!?あ、ごめん!」
 「もう!カスミ電話の前でボーっとしてるから驚いちゃったかも。」

 サトシとハルカが画面で並んでいる。
 まるでカップルみたい。
 見ていると泣きそうになっちゃう。

 「…ゴメンね。…やっぱりもう駄目かな?」
 「ん?どうしたんだ?」
 「カスミ?どうしたの?」
 「用事あるから!切るね!!」

 プツッと電話を切る。
 切った後のこの時間ってむなしい。
 泣けてくるよ…。

 「うう、サトシ!サトシィィ!!」

 この想い届かないのかな?
 こんなに、誰よりも、
 サトシのことが好きなのに。